「アジアの地図を見ると、日本地図のはずが九州の地図だけが描かれているんですよ。」これは、シンガポールのとある博物館を訪れた九州の個人投資家の方が私に嬉しそうに話された言葉です。アジアの人にとっては日本全体の地図を描くのではなく、東京でも大阪でもなく、九州の地図だけがアジアの地図に描かれているということは、つまり「九州」を見て日本経済を語っているのだとその話を伺って、私はそう感じたものです。

九州地方は、その地理的な特性を活かし、昔から諸外国の玄関口となっていました。歴史を紐解いても、例えば、博多は港で発展し商人を中心に栄えた街であったほか、出島のある長崎は鎖国政策を敷いていた江戸時代、通商の拠点だったことはいうまでもありません。諸外国との交流に伴い異文化に触れる機会が多い環境を背景に、自由な気風で、開放的で柔軟な発想を生む土壌が育ったものと思われますが、それは東京への一極集中が言われる現代にも引き継がれ、地域としての潜在的な成長力は大きいものがあります。例えばインバウンド。アジアからの玄関口として、観光ニーズが牽引して福岡空港への国際線LLC便や博多港へのクルーズ船の寄港実績は近年確実に増加しています。このインバウンドニーズは、今後も確実に伸長するものと見られており、九州経済を牽引する一役を担っています。

それから話は変わりますが、私の証券業界におけるこれまでの経験からは、九州には積極的にリスクを取って、投資をする人が多いように感じられます。

以前、私が福岡市内で講演した後、ロビーで投資家の方とお話をした内容です。
「実は私~、いろんな株を持っているのよ・・・で、だんだんと株が増えちゃったの」
「どれくらい保有なさっていますか?」
「う~ん!600銘柄は持っているのよぉ~」
「えっ?600銘柄ですか?」
「ならば日経225銘柄やETFを毎日、買ってみたらどうでしょう?」
「いえ、いえ、私の大好きな銘柄が欲しいのでこれでいいんですよ」と・・・。

この女性投資家は、バブル時代からこの投資スタイルを貫いているのだとか。このほかにも、「私は400銘柄持っています」、「はい、私は200銘柄保有しています・・」と明るい声でハキハキと答える投資家がいらしたのですが、私が全国を講演で回る限り、これだけ株式を豪快に保有している投資家の方が多いのは、実は九州だけなのです。

私がこれまで講演などで日本各地を巡った上で感じるのは、ポジティブで元気な地域である九州は、全国の中でも株式投資にとても前向きな投資家が多いということです。このエピソードだけでも「投資熱」が高いことが伺えます。

さて、歴史的にも海外の貿易の窓口として栄えた九州ですが、現在もアジアの玄関口として伝統が受け継がれています。アジアの玄関口であるため、インバウンドが活況を呈していることが一目瞭然となっています。例えば、博多~釜山間のLCC便や上海から博多港へのクルーズ船などを利用して中国や韓国から多くの観光客が九州を訪れ、そのまま観光バスなどで太宰府天満宮に参拝し地元の商店街を歩き、免税店では化粧品や健康食品、サプリメントなどの買い物やグルメを楽しんでいます。とある土産店では、一日の売上げが何と2億円を超える日もあるとお聞きしたことがあります。土産店や飲食店などの経営で「富を得る」方が増えているようです。このお話も夢のような本当のお話なのです。

ちなみに外国・日本クルーズ船で博多港は寄港回数4年連続トップ。第二位が長崎港、第三位が那覇港。中国クルーズに関しては初めて日本に観光する人も多いのだとか~まさにアジアからの日本の玄関口は「九州」ですね。

また、日本を訪れることが、日常生活の一部のようなカジュアルなリピーターも多く、まだまだ伸びる余地があると思われます。さらに、最近では欧米からの訪日客も増えており、「九州」はまさにインバウンドが活況な地域だと捉えています。

このようにインバウンドが活発化しているため、日本全体では人口が減少し、先細りが心配される内需も、九州に限れば不安は少ないのではないでしょうか。福岡市は過去5年間、政令指定都市の中で最も人口が増えた都市となりました。外需、内需に関らず、地元に目を向ければ、投資のチャンスがゴロゴロしていると言っていいでしょう。

例えば、東京に本拠地があり、首都圏だけで展開し上場しているマンション業者は、最近、営業エリアを広げるために、新たに九州に拠点を設けています。足下の経済が活況と言われる名古屋などの中京圏や、国内第2位の経済規模である関西圏などを飛び越し、九州に営業エリアを拡大しています。現在は東京よりも福岡の方が土地の仕入れが難しい状況ですが、今後、オフィス需要やその他の潜在成長力が最も大きな地域であるのが理由と考えられます。

九州は経済の規模で言えば、東京などの首都圏、大阪などの関西圏と比較すると小さいことは否めません。しかし、見方をちょっと変えて、現在の経済規模ではなく、今後どれだけ伸びて行くのかという地域の成長可能性の基準で判断すると、九州はランキングで急浮上するのです。

野村総合研究所がまとめた国内100都市を対象とした成長可能性のランキングによると、トップの福岡市をはじめベスト10に沖縄県も含め九州は6都市(福岡以外では2位鹿児島市、5位久留米市、8位宮崎市、9位那覇市、10位熊本市)もランキング入りしています。

このような潜在的な成長力の大きさの源はどこにあるのでしょうか?調べてみると、やはり、アジアに近いという地の利を活かした、輸出の拡大を無視する訳にはいきません。輸出も九州経済の成長力の要素のひとつであり、投資のヒントとしては、この辺にありそうですね。

実際に、貿易関係のデータをみてみましょう。門司税関が発表した2017年の九州経済圏貿易概況(確定値)(2018年3月20日付)によると、輸出は89,503億円、輸入は66,434億円、差し引き23,069億円の輸出超過となりました。中でもアジア向け輸出は54,420億円と約6割を占めています。韓国、中国、台湾などのアジア各国への貿易比率の高さが伺え、アジア向けの輸出は北米(米国・カナダ)向けの輸出13,389億円の約4倍となっています。

品目別で主要輸出品をみると、2017年では1位が自動車(21,522億円)、2位が半導体等電子部品(8,373億円)、3位が半導体等製造装置(7,964億円)となっています。ここから考えると、九州に拠点を置く自動車や半導体に関連する企業を投資の対象としてみるのが良さそうですね。それだけではありません。輸出が上向いて活況となれば、そこで働く人の消費活動も活発化しそうです。

そう!消費など内需に関連する企業も注目でしょう。

以上のように、九州にはインバウンド、内需、輸出など潜在的な成長可能性があり、九州の地元企業はもちろん、九州に進出している企業や不動産への投資など、地元に目を向けてじっくり観察すれば、着実に資産形成ができるでしょう。地元企業を掘り起こすのはもちろん、九州をキーワードに企業を調べてみるのも一つの方法ですね。興味がある分野や業種から探すだけでなく、日々の暮らしの中で普段使っている商品やサービスをテーマにしてみるのも楽しいのではないでしょうか。

恵まれた九州の地域環境と特性を考慮した資産形成(株式投資)を通じて、素敵なライフデザインを描いてみる人生って、心から素晴らしいことだと思います。あなたにも利益を上げられる権利が平等にあるのが投資の世界です。どうぞ、飛び込んで来て企業を応援してみて下さい。今までとは違った世界が広がっていくと思います。

  • 「株のお姉さんの株の教則」ブログ  http://ameblo.jp/kabune/
  • Yahoo!ファイナンス「投資の達人・株価予想」 2014年11連勝 最高勝率94%達成!
  • 『夕刊フジ』株―1グランプリ  2018年4月度優勝 (銘柄パフォーマンス108.8%)
<職歴>
  • 日興證券株式会社・長野エフエム放送アナウンサー・週刊『エコノミスト』(毎日新聞社)記者・ラジオ日経・日経CNBC東証アローズキャスター・ストックボイスTVキャスターなど経て現在に至る。
<主な著書>
  • 1日100億円動かした元カリスマ証券レディが教える『株の教則本(』インデックス・コミュニケーションズ)・やさしくわかる『株のクリニック』(実業之日本社)・『今日から儲かる株入門』(PHP研究所)・『はじめての人の株入門塾』(かんき出版)・『株式投資家のためのFX入門』(角川SSコミュニケーションズ)・『税金ゼロ!ローリスクで儲けるNISA株入門』(中経出版)
<レギュラー掲載紙・マネー誌>
  • 日本経済新聞 夕刊『マネーもっと知り隊』・『プロに聞く目からウロコの投資塾』・土曜日版 プラス1『独立独歩のマネー学』・『日経マネー』「株の達人10人に聞く」・『ダイヤモンドZAi』「日経平均予想コーナー」・『ネットマネー』「経営者インタビュー」・『株式にっぽん』「雨キョン株工房」・『ザ・株式投資』ムック本制作・『日刊ゲンダイ』連載